カナダの大学の最初のセメスターが一通り終わり、久々に時間ができたのでKindleで本を読むことにしました。Kindle Unlimitedけっこういいですね。

ビジネス書ばかりを最近読んでいたので、気軽に読める小説を読もうと思ったものの

私が好きなのがミステリーや刑事物なので結局読んだ後に色々と考えることに(笑)

今回は、中山七里さんの「護られなかった者たちへ」を読みました。震災、生活保護など社会の現実に一人一人が抱える苦しみや哀しみに切なくなりますが、最後の犯人が意外すぎてビックリです。

あらすじ

仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。
三雲は公私ともに人格者として知られ、怨恨が理由とは考えにくい。
一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。
三雲の死体発見からさかのぼること数日、一人の模範囚が出所していた。
男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か。
なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか? 誰が被害者で、誰が加害者なのか。

本当に“護られるべき者"とは誰なのか
怒り、哀しみ、憤り、葛藤、正義……
万般の思いが交錯した先に導き出される切なすぎる真実――。

Amazonより

率直な感想

率直な感想としては、「面白すぎて一気に読み進めてしまった!途中まで明らかに利根が犯人として描かれているのに最後にびっくり、そして切ない」

生活保護を受けるべき人が受けられない、「人様に迷惑をかけてはいけない」という日本人の美徳的な精神が高齢で本当に支援が必要な人の妨げになっている、そこから水道や電気も止められて最後に餓死してしまう人が現実にいるのかと思うと、ホントに税金の使い道って何が適切なのだろう…と思ってしまいます。

餓死なんて、人間として1番あってはいけないのではないかと思うのです。

小説ながら、恐らく取材もたくさんされた上で書いていると思われるので現実にあるんだろうな…水は公園に行けなかったのか?とか、炊き出しとかないのか?とか生活保護が通らなくても最低限水と食糧が必要な人に届く制度とかないのだろうか?と疑問でした。きっとあっても、近くじゃなかったり、足りなかったりするのでしょうか。

カナダでも物価の急騰で食費が払えずフードバンクが頼りという人も多いようです。学校では、朝ごはんプログラムといって誰でもシリアルやフルーツなどが食べられるプログラムが提供されていたりします。サインしたり申請したりすると周りの目が気になるという子たちへの配慮だったりするようです。

私なんかは子育てしていると、もっと未来の子どもたちに税金を使って!と思ってしまいますが、働きたくても働けない高齢者の現実もこの本を通して気付かされました。健康や人間関係やお金の準備をしてこなかったんだから自業自得なんて絶対に言えない事情がある人がたくさんいるのだろうなと。

2021年10月に映画化

調べてみたら昨年の10月に阿部寛さんと佐藤健さんで映画化されていました。

キャストも実力派で大好きな俳優さんたちなので、普段なら映画観るのですが、今回は映像化されると自分の中で抱えきれないのではないかと思って迷い中です。

映像にするとリアルすぎて涙が止まらないだろうなと…

映画では、一部のキーパーソンが小説とは違う形で描かれているようだったので、原作との違いを楽しむのも良いとは思います。

動画配信だと、Amazon PrimeでPrime特典として配信されていましたので観たい方はぜひ。