2022年も最後の日になってしまいました。今年最後に読んだ「アマテラスの暗号」が衝撃的すぎて、何か書きたいと思いつつ、何を書けばいいんだろう?と思いながら日が過ぎてしまいました。

“12までに民族の神話を学ばなかった民族は滅んでいる” -歴史家トインビー

衝撃的な言葉…日本人のルーツ、日本の神道について、本当に知らないことばかりだったなと思います。カナダに来て、日本人として日本のことを全然知らないなと感じます。残念ながら学校では教わらない日本の神話。著者が調べたら神話や神道の秘密が小説形式で記され、どんどん引き込まれていきます。

あらすじ

(この小説における神名、神社、祭祀、宝物、文献、伝承、遺物、遺跡に関する記述は、 すべて事実にもとづいています。)

元ゴールドマン・サックス(NY)のデリバティブ・トレーダー、ケンシ(賢司)は、日本人父との四十数年ぶりの再会の日、父がホテルで殺害されたとの連絡を受ける。父は日本で最も長い歴史を誇る神社のひとつ、丹後・籠神社の宗家出身、第八十二代目宮司であった。
籠神社は伊勢神宮の内宮と外宮の両主祭神(アマテラスと豊受)がもともと鎮座していた日本唯一の神社で、境内からは一九七五年、日本最長の家系図『海部氏系図』が発見され、驚きとともに国宝に指定されていた。
父の死の謎を探るため、賢司は元ゴールドマンの天才チームの友人たちと日本へ乗り込むが……

Amazon より

読んだ感想

私は東京のお伊勢さんと言われる「東京大神宮」で結婚式を挙げました。主人は三重県出身なので帰省の時はできるだけ伊勢神宮にお参りに行っていました。

祖父母は毎年、年末年始に長野の諏訪の温泉に連れて行ってくれていました。初詣は諏訪神社へ。

どちらも私にとっては思い出の神社。それらがこの小説では2000年も昔から受け継がれる神道の秘密を握る神社として登場し、「知らなかった!」の連続でした。

殺人事件の犯人探しというよりは、亡くなったお父さんが探していた真相を解き明かしていく感じなので、動機や犯人についてはあまり印象に残りませんが、ここに書かれていることが全部事実だとすると、驚きでした。日本人とユダヤ人のつながり…

世界史を勉強していた時に、縦にその国だけを見るのではなく、横に世界全体を見ると面白いよと先生に言われたことを思い出しました。本当に昔から世界はつながっているんだなと。

ネタバレになるとつまらないので、ぜひ読んでほしいなと思います。

共感できる作者の想い

あらゆる分野でグローバル化が進む今日、日本がこれからもいい国であり続けるためには、自分たちの歴史を公正に顧みて、そこに大きな根を張ることが必要であると思いました。

(中略)

間違っても、これまでの三十年間のように、外国人が優位になるような政治的意図のもとに押しつけた歴史認識から、自らの歴史、伝統、文化、価値、信念を否定したり捨てるようなことをし続けてはならないのです。

(中略)

各自が日本のルーツに興味を持ち、自分なりの結論を得るために歴史を調べるきっかけとなってくれることを願ってやみません。

私も日本の教育における歴史や文化の教育はもっと良くできると思うのです。せっかく日本には素晴らしい文化があるのに学校で教えることはほとんどありません。

マッカーサーが吉田茂首相に言った一言が本の中で紹介されていました。

悪いけど、日本人の魂は抜かしてもらうよ

怖い一言だなと、今でも強く印象に残っています。

人として豊かに生きるためには、国語や算数といった勉強も大事ですが、自分が何者なのか?ルーツを学ぶことも大切だと思います。

私もこの本をきっかけにもっと日本のことを知りたいなと思うようになりました。自分の子どもたちもカナダで育てようと思いますが、だからこそ日本についても私たちから教えていきたいです。