― PRFAQから逆算する実践的アプローチ ―
今年リリース予定の新商品のGTM戦略を作ったので、新カテゴリを立ち上げる際の考え方についてまとめてみました。単体の商品というより新たなカテゴリを導入しようとしているので、単体よりも考慮するポイントがあります。

Contents
なぜ「GTM戦略」がうまく機能しない商品が多いのか?
Go To Market(GTM)戦略という言葉は、プロダクトやマーケティングに関わっていると頻繁に耳にします。
一方で、「GTM戦略を作ったはずなのに、うまくいかなかった」という話も少なくありません。
その理由の多くは、GTM戦略が「売るための施策リスト」になってしまっていることにあるのかなと思います。
広告、PR、チャネル、価格、ローンチスケジュール。
それ自体はとても重要なのですが、それらが何を実現するためのものなのかが曖昧なまま進んでしまうケースが非常に多いです。
特に、新しい商品カテゴリを立ち上げる場合、このズレは致命的になります。
Go To Market戦略とは何か(よくある誤解)
GTM戦略というと、「どのチャネルで売るか」「どうやって認知を取るか」といった話から始まることが多いですが、私はそれをGTM戦略の本質だとは思っていません。
GTM戦略とは、
その商品やカテゴリが、市場でどう理解され、どう語られる存在になりたいのかを設計すること
だと考えています。
言い換えると、「どう売るか」ではなく
「どう受け取られたいか」
を明確にすることが先です。
ここが定まらないまま施策に入ると、途中で判断がブレたり、チーム内で認識のズレが生まれやすくなります。ブランディングに近いかもしれません。
GTM戦略は誰が作るべきなのか
ここでよく聞かれるのが、
「GTM戦略はプロダクト部門が作るのか、それともマーケティング部門なのか?」
という問いです。
私も最初はマーケティングが作るものだと思っていたのですが、結論から言うと、
どちらか一方が作るものではありません。
ただし、実務的には
GTM戦略のオーナーはプロダクト側が持つべき
だと私は考えています。
なぜなら、GTM戦略には
・誰を最初の顧客にするのか
・どの価値を最優先するのか
・あえて何をやらないのか
といった、商品そのものを規定する判断が含まれるからです。
一方で、マーケティングの役割は非常に重要です。
市場や競合の視点からのフィードバック、
メッセージの磨き込み、
チャネルやキャンペーンなどのローンチ計画への落とし込み。
理想的なのは、
プロダクトが責任を持って設計し、マーケティングが戦略を一段上に引き上げる関係
です。
この役割分担ができていないと、GTM戦略は「調整資料」になり、戦略として機能しなくなります。
私がGTM戦略を考えるとき、最初にやっていること
私がGTM戦略を考えるとき、まず最初にやるのは
ビジョンを言語化することです。
・この商品は、なぜ存在するのか
・顧客のどんな価値観に応えたいのか
・この会社がやる意味は何か
売上目標や市場規模の前に、ここを徹底的に考えます。
これはきれいごとではなく、後の意思決定を圧倒的に楽にしてくれるからです。
迷ったときに立ち返る軸があるかどうかで、GTM戦略の精度は大きく変わります。
PRFAQを作っていて本当によかったと思う理由
このビジョン設計の中で、特に役に立っているのがPRFAQです。
PRFAQは、
「未来のプレスリリースを書いてみる」
という発想で、商品が世に出た後の状態を先に描くフレームワークです。
実際に作ってみると分かるのですが、
・顧客は何を疑問に思うのか
・メディアはどこを突っ込んでくるのか
・社内からどんな質問が出そうか
といったことが、驚くほど具体的に見えてきます。
PRFAQは単なる文章ではなく、
意思決定の前提をそろえるための道具
だと感じています。
今回のケース:新しいプレミアムカテゴリの第一弾商品
今回私が関わっているプロジェクトは、新しいプレミアムカテゴリの第一弾となる商品です。
このとき強く意識したのは、
商品単体ではなく、シリーズ全体が目指す世界観を先に定義することでした。
第一弾の商品は、そのカテゴリの「顔」になります。
後続商品がどう続いていくのか、顧客にどんな期待を持ってもらいたいのか。
それらすべてを背負う存在です。
だからこそ、「売れそうだから」「作りたかった商品だから」という理由だけで設計すると、後から苦しくなります。
新カテゴリ立ち上げにおけるGTM戦略のポイント
新しいカテゴリを立ち上げる際、私が特に意識しているポイントは以下です。
まず、既存カテゴリとの比較で説明しすぎないこと。
比較は理解を助けますが、依存しすぎると新しさが伝わりません。
次に、価格や製品特徴ではなく価値の基準をつくること。
プレミアムである理由を、自分たちの言葉で定義する必要があります。
そして、
「誰にとってのプレミアムなのか」
を明確にすることです。
すべての人にとってのプレミアムは存在しません。
商品開発で苦労するのは、たくさんの人のフィードバックをもらった時に、全員意見が違ったりすること。それらを全部盛り込もうとすると、誰にもささらない商品が出来上がってしまいます。
注意点:やりがちな失敗
新カテゴリのGTMでよく見る失敗もあります。
機能説明が先行してしまうこと。
第一弾なのに汎用性を持たせすぎてしまうこと。
短期売上を意識しすぎて、軸がブレてしまうこと。
これらはすべて、「逆算」が足りていないことが原因だと感じています。
私もついつい機能や性能に寄ってしまいそうになりますが、その時の軌道修正は、あくまでお客様が求めていることは何か?に立ち返り、購入した人は、どんな価値=バリューを感じてもらうのか?を改めて言語化することが大事だと思います。
逆算で考えることの重要性
私がGTM戦略を考えるとき、必ず自分に問いかけるのは次のようなことです。
・ローンチ後、顧客はこの商品をどう語っているか(買った後、どんな状態になっているのか?)
・1年後、このカテゴリはどんな存在として認識されていたいか
その状態から逆算して、何をやり、何をやらないのか?を整理します。
MoSCoWを使って、優先順位を付けることもよくあります。必ずやるべきMust Haveから、やらないWon’t have までを並べてみると、かなりスッキリ整理できます。
PRFAQとGTM戦略はどうつながっているのか
PRFAQはGTM戦略の背骨です。
PRFAQが描いている未来を実現するために、
GTM戦略として何を選び、何を捨てるのかを決めていきます。
この2つがつながっていると、
商品開発、マーケティング、PRのすべてに一貫性が生まれます。
おわりに
新しいカテゴリをつくるということは、
単に新しい商品を出すことではありません。
新しい価値観を市場に提示することです。
だからこそ、最初の設計がすべてを左右します。
GTM戦略は後付けではなく、最初に考えるものなのかもしれません。
そして、その中心にあるのが「逆算」と「PRFAQ」だと、私は感じています。


