現代の広報やマーケティングでは、商品やブランドの「透明性」がこれまで以上に重要になっているように感じます。SNSやインターネットが普及したことで、隠し事や不祥事が瞬時に拡散され、企業やタレントのイメージが揺らぐ事例が後を絶ちません。

今回は、2024年の年末から話題となっている中居正広さんの不祥事や、広報・マーケティング担当者としての実体験を交えながら、「透明性」の重要性についてお伝えします。

中居くんの不祥事が示す広報リスク

2024年の年末、中居正広さんの不祥事が明るみに出ました。国民的アイドルグループの元メンバーとして絶大な人気を誇り、多くのCMやテレビ番組で活躍していた中居さんですが、スキャンダルが発覚し、フジテレビが社員の関与を認めず、クローズドな会見を開いたことで批判が集まり、スポンサー企業はCMの差し止めを決定。さらに、企業のCM差しどめはあっという間に広がり、引退まで報じられる結果となりました。

この一連の流れは、現代の広報や危機管理において「対応スピード」と「透明性」の重要性を如実に物語っています。SNSの普及によって、スキャンダルや問題行動は過去のものとして隠すことが難しくなり、一度失った信頼を取り戻すには長い時間が必要です。

企業にとっても、タレントの不祥事は直接的な売上やブランドイメージに直結します。だからこそ、広報担当者やスポンサーは迅速かつ適切な対応を行なったといえます。

広報・マーケティング担当者としての実体験

私自身、現在3社の広報やマーケティングに携わっています。その中で感じるのは、消費者はますます企業の理念や正直さに対して、厳しくなっていると感じます。

たとえば、先日ポテトチップスを購入した際、パッケージには「神業食感」「やみつきエンドレス製法」など、魅力的なキャッチフレーズが踊っていました。しかし、実際に食べてみると期待外れで、正直がっかりしました。こうしたギャップは消費者に不信感を与え、「二度と買わない」と思わせてしまいます。

また、私は自分が好きでもない商品を消費者に勧めることが苦痛です。家族や親友に勧めたくないものは、他の人たちにも勧めたくないなと思います。今関わっている企業は社長の理念に共感でき、誠実にプロダクト開発を行っています。このような企業で働くと、自信を持って商品を広めることができ、広報やマーケティングの仕事にも喜びを感じられます。

J.Y. Parkの言葉が示す透明性の本質

突然ですが、韓国の音楽プロデューサー、J.Y. Park氏はNIZIUを生み出した「NIZIプロジェクト」で次のように述べていました。

「カメラの前でしないことは、カメラが回っていないところでもしないでください。」

この言葉は、まさに誠実さや態度の大切さを伝えていますし、タレントだけでなく、広報やマーケティングにも通じると感じます。

消費者や視聴者は、今や表面だけのアピールでは納得しません。企業やタレントが裏で行っていることがいずれ明るみに出る可能性を考えれば、最初から透明性を持って行動することが重要です。

現代のSNS社会では、どんなに小さな行動も隠し通すことは難しい時代です。「壁に耳あり、障子に目あり」ということわざが、まさに現実のものとなっているのです。

社長の理念に共感できる企業の力

現在、私が携わる会社はどこも、社長自身が「消費者のために」という思いを大切にしています。商品やサービスの企画段階から「誰のために作るのか」「どのように社会に貢献できるのか」を考え抜き、その真摯な姿勢が関わる人々に浸透していきます。

誠実な商品づくり、サービスづくりの姿勢は、時間がかかっても必ず消費者に伝わると信じています。

まとめ

広報・マーケティングにおいて、「透明性」は信頼を築く上で欠かせない要素です。中居正広さんの不祥事やCM差し止めの事例からも分かるように、透明性の欠如はブランドや企業の信頼を一瞬で損なう可能性があります。

J.Y. Park氏の言葉を借りるなら、透明性とは「表と裏が一致していること」です。商品やサービス、さらには企業の理念までもが一貫している企業こそ、これからの時代に求められる存在ではないでしょうか。

消費者を裏切らず、信頼を大切にする広報活動。それこそが、これからの広報・マーケティングにおける成功の鍵になると感じます。