ドラゴンボールのマグカップを手にしたフィリピン人の友達が「かめはめ波!!」と笑う。インド人の友達は「子供の頃、毎週テレビの前でドラゴンボールを見ていたよ」と懐かしそうに話す。カナダ人の同僚は「私、小さい頃、オリジナルのセーラー戦士を作って遊んでたの!」と目を輝かせる。

日本のアニメが世界を席巻している。

SPY×FAMILYのアーニャと鬼滅の刃のネヅコ(なぜか漢字がエラーになってしまうのでカタカナで)に夢中になり、独学で日本語を学び始めた7歳のフィリピン系カナダ人の子供。バンクーバーのイベントでコスプレを楽しむアメリカ人のアニメオタク。彼らの熱量を見ていると、日本のアニメがただの「コンテンツ」ではなく、文化そのものになっていることを実感する。

そして、日本食。

「一番好きな食べ物は?」

カナダ人の同僚が「SUSHI!」と即答する。

「え、そんなに好きなの?」と聞くと、「週一で食べないと落ち着かない」と言う。私は心の中で「タイのトムヤムクンラーメンが好きなんだけど、まあ寿司って言っておこうかな」と思っていただけに、なんとなくびっくりした。

寿司だけじゃない。ラーメンや餃子はもはや国際的な料理。

「私、揚げ出し豆腐が大好きなの!」と言われたときや、「ワサビピーナッツ、めちゃくちゃ美味しくない?」と聞かれたとき、なんだかじんわりと嬉しくなる。

ポケモンやマリオ、ゼルダ。ゲームの世界でも、日本はトップランナーだ。

UNIQLOや無印良品、ダイソーは、カナダでも大人気。

「このノート可愛いな」と思って手に取ると、韓国語で説明が書いてある。日本のキャラクターグッズが、中国や韓国経由で輸入されているのか? 日本のものなのに、日本人が直接届けていない不思議さ。

ふと、思う。

「日本ってこんなに世界から求められているのに、なぜ日本人がそれを享受できていないのだろう?」

カナダの寿司屋の多くは中国人か韓国人が経営している。

「日本食、人気なのに……」

「なぜ日本人がもっとやらないの?」

英語の壁? それとも、海外で挑戦しようという雰囲気が足りないのか?

日本は、もっと世界で活躍できる。

そんな可能性が、そこらじゅうに転がっている。

私も何かしてみたいな、と思う。

でも、ビジネスを始める大変さと、子供や家族との生活を天秤にかけてしまう。

始めたら大変。だけど、始めなければ何も起こらない。

2025年。巳年。

巳年は「実行すれば実る年」らしい。

下の子も2歳になるし、そろそろ何か始めてみようかな。

小さくてもいい、何か一歩を踏み出してみたい。

そう思いながら、今日もSUSHIを食べたというカナダ人の同僚の話しを聞くのだった。