こんにちは、プロダクト開発の仕事を通じて、国をまたぐ物流や貿易の仕組みに触れることが多い白木賀南子です。

今日は「自由貿易協定(Free Trade Agreement:FTA)」について、改めて考える機会がありました。

実は最近、アメリカだけでなくカナダも中国製品に対して追加関税を課していることを知りました。関税という名前ではなく、「surtax(追加税)」という形で課されているようで、特に原材料の輸入コストが上がってきているとのこと。製造業にとっては無視できない変化です。

でも、それとは対照的に、日本とカナダの間には自由貿易協定が結ばれており、関税が免除される品目が多いのです。この事実に救われている日本企業も少なくないはずです。

自由貿易協定(FTA)とは?

自由貿易協定とは、特定の国同士が物品やサービスの貿易において関税や数量制限などの障壁を取り除き、より自由で円滑な取引を促進するための国際的な取り決めです。FTAを結ぶことで、関税がゼロまたは大幅に引き下げられるため、企業はコストを抑えつつ国外の市場にアクセスできるようになります。

カナダと日本が含まれる協定

カナダと日本は、CPTPPに加盟しています。これは11か国による広域な貿易協定で、アジア太平洋地域を中心に関税の撤廃、投資ルールの共通化、知的財産保護の強化などが盛り込まれています。

CPTPPには、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムが参加しています。

なぜ自由貿易協定はビジネスに良いのか?

関税が免除されることはもちろんですが、それ以上に以下のようなメリットがあります:

予測可能な価格設定:関税コストが明確になるため、長期的な価格戦略が立てやすくなる サプライチェーンの多様化:特定国への依存を減らし、政治的・経済的リスクを分散できる 市場拡大:FTA加盟国間での輸出入がしやすくなり、新規市場への参入障壁が低くなる

例えば、私が今いる会社の商品は一部がMade in China、一部がMade in Canadaです。Made in Chinaの場合、原材料としてステンレスをカナダに輸入する際に、元々の6.5%の関税に加えて、追加税として25%がかかります。さらにその製品をアメリカに輸出する場合には、現状で約145%の関税がかかってしまいます。結果的に、何重にも関税を支払うことになるのです。

一方、自由貿易協定を結んでいる日本などの国から輸入する場合、カナダに輸入する際には関税が免除されます。つまり、原材料調達コストを大幅に抑えられるということです。これが、FTAのもたらす非常に大きなビジネスメリットです。

「原産国(Country of Origin)」と「HSコード」が重要

自由貿易協定を活用するには、商品の原産国が協定国であることが条件となります。また、それを証明するためにはHSコード(国際的な関税分類コード)を正確に指定し、原産地証明書を用意する必要があります。

この2つの要素を誤ると、本来適用されるはずの関税免除を受けられなくなるため、非常に重要なポイントです。

これからの時代、アメリカや中国に依存しすぎず、FTAを活用して多様な国との貿易が広がっていくといいなと感じています。

私自身も、その流れの中で、カナダと日本の架け橋となるような仕事ができたら嬉しいです。