我が家の目の前には、最近できたコミュニティセンターのスケート場がある。
「なぜ子どもの室内遊び場がないんだろう」と嘆いていたが、よく考えればここはカナダ。アイスホッケーが盛んな国だ。スキーに行くのは少しハードルが高いけれど、スケートならできそうだ。
装備も簡単で、スケート靴さえあれば始められる。
問題は――私が滑れないこと。

夫が4人分の面倒をみるのか!?と思ったが、試しに行ってみたら、素晴らしいサポート器具があった。
子どもを乗せて押せる犬の乗り物のような補助具もあり、初心者には最高の施設だった。
私も歩行器のようなツールを使って、なんとか子ども1人と一緒に氷の上を進めた。
何度か通ううちに、ついに「自分たちのスケート靴を買おう」という話に。
値段は40〜60ドルほど。家族全員分で約300ドル。レンタルなら1人3ドルだから、10回ちょっと行けば元が取れる計算だ。
しかも、自分の靴だと滑りやすさがまるで違う!
長男(8歳)は最初こそ「死ぬー!」と泣き喚いていたが、
それを次男(4歳)が「大丈夫だよ」となだめていた。
怖がりの次男が一番落ち着いているのが面白い。
三男(2歳)は、状況を理解しているのかいないのか、泣きもせず、器用に氷上を歩いていた。
長男はそのうち、補助ツールを使って1人で滑れるようになり、4回目のときにはもうツールなしで滑っていた。
私は完全に置いていかれた。
羽生結弦くんの映像を見て、「人智を超えている」と思いながらも、
少しでも近づきたいと願う自分が笑えてくる。
でも、千里の道も一歩から。
我が家は、確かにその“一歩”を踏み出したのだ。
アイスホッケーは激しく、前歯が折れることもあると聞く。
できれば安全な地上でダンスをしてほしいと思う一方で、
カナダらしいことにも挑戦してほしい。
今シーズンの週末は、きっとリンクで過ごすことになるだろう。

