先日、カナダで私が勤める企業のCOOとマーケティングマネージャーとともに、バンクーバーで行われたBC Food & Beverage主催のThrive Conferenceに参加しました。

このカンファレンスでは、食品業界の未来、コミュニティづくり、価値観を中心としたビジネスの在り方について多くの学びがありました。

多くの起業家が「自分たちの仕事は誰かの役に立つためにある」と語っていたことに強く共感しました。

改めて、「食」は商品である以上に、アイデンティティであり、カルチャーであり、コミュニティそのものだということを実感しました。

就職時に迷った「ITか、飲食か」

実は、私はもともと就職活動のとき、IT業界に進むか、飲食業界に進むかで本気で迷っていました。

当時、私は和民の渡邉美樹社長を尊敬していて、「食が人に与える幸せ感」に心を惹かれていたのです。

最終的にはIT業界を選び、そこで得たビジネススキルは今の私の大きな財産になっていますし、まったく後悔はしていません。

けれどもここ最近、ふとしたきっかけで「食」に触れることが増え、やはり私はこの分野に自然と関心を持っているのだと気づきました。

「価値観」こそが人を動かす

今回のカンファレンスで最も印象的だったのが、『The Death of Demographics』の著者デイビッド・アリソン氏による「Valuegraphics(価値観にもとづくマーケティング)」という考え方です。

年齢、性別、収入といった従来の属性ではなく、人の「価値観」にこそ焦点を当てるべきだという内容に大きなインパクトを受けました。

デイビッド氏は、人々の行動原理を決める56の価値観があり、ビジネスはこの「Power Value(中核となる価値観)」に沿って設計すべきだと提言しています。

これからのHR、マーケティング、商品開発、すべてにおいて、価値観の一致が自然な行動を生み出すという視点は、私自身の仕事にも活かせると感じました。

食品製造のスケールがもたらす社会的価値

もう一つ心に残ったのが、「食品製造がスケールすることで、農家から消費者までが恩恵を受ける」という考え方です。

食品業界の成長は、産地の収益向上にもつながり、エコシステム全体を健全に育てていく力を持っています。

私自身、海外に住む中で、日本の食文化の豊かさや、日本の農家の苦しい現実を痛感しています。

中間業者の構造など、変えるのが難しい部分もありますが、「仕組み化」や「輸出の最適化」を通してイノベーションが起こせる可能性もあると感じています。

美味しい朝ごはんもランチも提供されました

役割を模索中

正直なところ、私に何ができるのかはまだわかりません。

でも、業務フローの改善や仕組みづくりには自信があります。

どこかで「食」と「ビジネス」をつなぐ役割を担えるかもしれない。そんな想いが、今の私の心のどこかで膨らみ始めています。

背中を押された50代からの起業家

カンファレンスの登壇者の中には、50代で起業したシングルマザーもいました。

年齢にとらわれず、自分のタイミングで挑戦を始める姿に、私も大きな勇気をもらいました。

これからのアクション

まずは、顧客の価値観を探り、自社にとってのPower Valueを明らかにすることをやってみたいと思います。

それができたら、他のPRにも応用できる可能性があります。

また、日本の食文化の魅力を整理して、輸出可能性やストーリー性のある食材・製品のリストアップできたら良いなと感じます。

日本は特に食文化が豊かなので、ちゃんとしたものが海外で広がるといいなと感じます。

「食」は人を幸せにする力がある。そして、仕組みが変われば、もっと多くの人が幸せになれる。

そんな未来に向けて、私も小さな一歩を踏み出せたらいいなと感じさせるカンファレンスでした。