日本にいると、バースデーパーティーって、なんとなく「祝ってもらうもの」だった。自分で招待状を書いて、場所を押さえて、友だちを呼んで、なんて考えたこともなかった。
でもカナダに来たら、それが普通だった。むしろ、主催しなかったら誰にも祝われない、みたいな世界だった。
長男の誕生日は7月。すっかり夏休みで学校なんかないから、毎年「学校があるうちに招待状を出す」というミッションが発生する。忘れたらアウト、みたいな。

去年は天気が良かったから、公園でやった。テーマはスパイダーマン。バースデーコーディネーター(そんな職業もある!)のママ友に頼んで、飾り付けとゲームまで完璧にやってもらった。
ああ、北米っぽい!と感動した。
三男は2月生まれ。まだ小さいし友だちも少ないから、私の大学卒業と同時にパーティーをぶつけた。卒業祝いと誕生日祝い、どっちが主役かわからないパーティーだったけど、まあいい。
マンションのアメニティルームを予約して、友人や地元の仲間たち20人以上が集まってくれた。
食べ物を準備して、グディバック(お菓子と小さなおもちゃの詰め合わせ)を配るのも主催者の仕事。プレゼントをもらうんだから、こっちも何か返さないとね、という感じだ。


さてさて、二人もこんなに派手に祝ってしまったものだから、問題が起きた。
4月生まれの次男。どうする?どうする?
夫は言った。「人数少ないと、もらえるプレゼントも少ないから、かわいそうじゃない?」
えっ、そこ?と思いながらも、私は悩んだ。
でも救世主はすぐ現れた。
次男が通うデイケアで、パーティーをやらせてもらえることになったのだ。

そこは個人の家を改装した小さな保育施設で、裏庭もある。お友達の兄弟も来られるし、もう、これ以上ないシチュエーション。
私は意気込んで、ピニャータを用意した。
キャンディとおもちゃを詰め込んだくす玉を、みんなで順番に叩く。こちらではバースデーパーティーの定番だ。

子どもたちは大盛り上がり。バン!と割れて、お菓子がばら撒かれると、全力で拾い集める。
ただ、頑丈に作ったつもりのピニャータ、思ったより一瞬で壊れてしまい、準備した私はちょっとしょんぼりした(笑)。
テーマは戦隊モノ。
うちではキラメイジャー推しなんだけど、カナダではパワーレンジャーばかりで、輸出されているのはキョウリュウジャーとかニンニンジャーらしい。
次男は「ぼくのハッピーバースデーだ!」と大喜びだった。
さて、次は長男の番だ。
どうしよう、どうしようとまた悩んでいるけれど、こうして一緒に悩めることも、たまらなく幸せだ。
生まれてきてくれて、ありがとう。