先日、プロダクト開発のカンファレンスに参加しました。公演のほとんどがAIの話しと絡めた話題。私自身も日々AIを使っていますが、本当に仕事の仕方が変わっています。どんなビジネスの現場でも活用できますが、今回は、PRの領域での活用の幅の広げ方をお伝えします。
ただし「プレスリリースをAIに書かせる」だけでは表面的です。本当に効果的に使うためには、PRのプロセス全体を分解し、それぞれのステップにおいてAIをどう活用するかを考える必要があります。

Contents
ストーリーの整理:AIを「壁打ち相手」に
PRの土台は、商品やサービスの強みやストーリーを言語化することです。
• AIに「Q&A形式」で質問してもらい、自社のビジョンや開発背景を引き出す
• 「なぜ作ったのか?」「誰が作ったのか?」「社会にどう役立つのか?」といった切り口をAIに提示してもらう
このプロセスで整理された言葉は、その後のPR施策すべての核になります。
社会課題との接続:リサーチの助手
PRで欠かせないのが、社会的な意義との結びつき。AIはリサーチの効率化に役立ちます。
• 「この分野の社会課題」や「最近のトレンド事例」をAIにリスト化させる
• 海外メディアや業界レポートの要約を頼むことで、自社がどこに位置づけられるかを考える
ここで得られた情報をベースに、人間が自社らしい解釈や意義づけを行うことが重要です。
また、AIの出した情報は間違っていることも多いです。必ず、参照元などを確認して事実確認を行なってください。
他社リサーチとアプローチリスト作成
プレスリリースを出す前に確認しておきたいのが、他社がどんな発表をしているか。
• AIに「類似商品の過去のリリース事例」をまとめさせる
• 「このテーマを扱うメディア・記者・インフルエンサーは誰か?」をAIに抽出させる
AIは大量の情報を一気に整理できるため、効率的にアプローチリストを準備できます。
プレスリリースや記事のドラフト
もちろん、AIは文章生成にも強みを持っています。
• プレスリリースの「骨子」や「型」をAIで作成
• 複数パターンの見出し案を出してもらう
• 海外向けリリースを英語で叩き台として生成
ただしここで大事なのは、AIの文章をそのまま使わないこと。AIの言葉は平均的で誰でも似たようなものになります。最後は必ず人間が編集し、独自のストーリーや人間味を加えることが必須です。特に記者の方々は宣伝を嫌いますので、きちんと皆さんの言葉で社会的な意義やニュース性を伝えられるようにしましょう。
PR後の分析と改善
発表した後のメディア露出やSNSでの反応も、AIは分析に役立ちます。
• 記事タイトルやSNSコメントを収集・分類
• ポジティブ/ネガティブの傾向分析
• 次のリリースに向けて改善すべきポイントを抽出
AIが定量的なデータをまとめ、人間が定性的な意味づけを行う流れが効果的です。データ分析はAIの力を借りると本当に楽になりました。
商品開発段階での「PRFAQ」活用
最後に、PRを「後付け」ではなく商品開発の初期から組み込む方法があります。
Amazonが採用する「PRFAQ(逆算型PR)」の考え方を取り入れ、商品開発前にプレスリリースの下書きを作る。その際にもAIは役立ちます。
• 顧客視点でのQ&AをAIに大量に生成させる
• 想定される批判や疑問を先に洗い出す
• それにどう応えるかを人間が考える
このプロセスを通じて、商品開発そのものがPR視点で磨かれます。
まとめ
AIをPRに活用するポイントは「作業の効率化」だけではありません。
• ストーリーの整理
• 社会課題リサーチ
• 他社事例やメディアリスト作成
• 文章のドラフト生成
• 効果分析
• 商品開発段階でのPR設計
これらのステップでAIを「相棒」として取り入れることで、PRはより戦略的で、人間だからこそできる“物語”に集中できるようになります。
ここまでご紹介したのはあくまで一例です。AIのPR活用法は、実際にはもっと無限に広がっています。
たとえば、インタビューの事前想定質問を作る、海外市場での反応をシミュレーションする、SNSで話題になりそうな切り口を考える。その使い方は探せば探すほど見つかるはずです。
AIが生み出すのは「平均的な答え」ですが、それをどう組み合わせ、人間ならではのストーリーを乗せるかでPRの可能性は大きく変わります。
ぜひ、自分なりのAI活用法を探究してみてください。


