こんにちは、白木賀南子です。今日は実体験に基づく少し真面目なお話をしたいと思います。

カナダで働いている私の会社で、つい先日、経理担当の方が急に退職することになりました。理由を聞いて驚きました。

経営方針として経理業務に自動化ツールを導入することが決まり、フルタイムの必要がなくなったとのこと。会社側はパートタイム勤務を打診したものの、話し合いはうまくいかず退職という流れになったそうです。

年対比30-40%で成長しているので致し方ないとはいえ、経理に忍び寄るシステム化。いや、もう忍んでなんかいません。隣に座ってます…会計士の夫もびっくりです。

自動化される仕事とは?

ここ数年で、AIやソフトウェアの進化は想像以上に進んでいます。私たちが「人の手じゃないと無理」と思っていた仕事が、あっという間にツールに置き換えられている現実があります。

自動化されやすい仕事には、いくつか共通点があります。

まず、毎日同じようなルールで繰り返される定型業務。請求書の処理や帳簿管理、在庫管理などがこれにあたります。次に、数値やデータに基づいて明確な判断ができる仕事。たとえば経費の仕訳や簡単なレポート作成、顧客情報の整理なども自動化が進んでいます。

また、マニュアルに沿って進めるだけでよい業務も、自動化の対象になりやすい分野です。予約の受付、問い合わせ対応の一部、定型メールの返信など、すでにAIチャットボットに任されている企業も多くなりました。

自動化されにくい仕事とは?

一方で、「これはまだ人間じゃないとできない」と言われる仕事も存在します。

まず、創造性が求められる仕事。何もないところから価値を生み出す商品企画、デザイン、コンテンツ制作などは、今のAIには代替が難しい分野です。

また、感情や空気を読み取る必要がある仕事も、自動化が難しいもののひとつです。教育や介護、チームのマネジメント、接客業の一部など、人との距離感や温度感が大切な仕事は、やはり人にしかできません。

さらに、複雑な調整や判断が求められる場面も、自動化には向きません。たとえば私の仕事であるプロダクト開発は、情報を集め、関係者と意見をすり合わせながら最適解を見つけていく必要があります。こういった業務には、状況を読み取る力、柔軟に対応する力が欠かせません。

これからの時代に必要なスキルとは?

こうした変化の中で、これからの時代に求められるのは、「人間にしかできない力」を伸ばしていくことです。

たとえば、問題解決力。正解のない問いに向き合い、自分なりの仮説を立てて動いていく力です。

コミュニケーション力も欠かせません。ただ話すのではなく、相手の意図や背景をくみ取りながら、すり合わせを進めていく力です。

また、創造性。常識にとらわれず、新しいものを考え出す柔らかさ。共感力も大切です。相手の立場になって考えることで、より良いアイデアや判断につながります。

そして何より、「学び続ける力」。変化が激しいこの時代では、スキルそのもの以上に、自分をアップデートし続ける姿勢が問われています。

では、それらの力はどうやって身につければいいのか?

ありがたいことに、こういったスキルは特別な環境や訓練がないと身につかないものではないと私は思っています。

日々の仕事の中で、「ちょっと難しいこと」に一歩踏み出す、これまでやっていなかった分野に挑戦してみる、人との対話を意識的に深めてみる。そんな小さな積み重ねで、自然と磨かれていくものです。

読書や講座を通じた学びももちろん有効ですが、何よりも「現場で考え、試し、対話する」ことの中に、スキルの種があるのだと思います。

終わりに

「仕事がなくなる」というのは、表面的な現象に過ぎません。

本当の問いは、「自分にしかできない仕事とは何か?」です。

それは、あなた自身の思考力であり、表現力であり、人との関わり方であり、“あなたという存在そのもの” なのかもしれません。

自動化の波の中でも、「人にしかできないこと」を楽しみながら働いていけたら素敵ですね。