JETROの調査では、海外展開を行う日本の中小企業のうち北米(米国・カナダ)を選ぶ企業は4割近くにのぼります。一方で、進出後の課題としてよく挙げられるのが、人材や現地パートナーの壁。そしてその奥にある「商習慣や文化の違いへの対応不足」です。技術力やコスト競争力では劣らないはずの日本企業が、なぜ現地での評価や売上に結びつかないのか。カナダで暮らしながら、日本発の消費財ブランドの北米展開や、実際のB2B業務での発信を見てきた立場から感じるのは、その「なぜか」の正体は市場そのものではなく、「伝え方」の側にあることがほとんどだということです。

なぜ「良い製品」が北米では伝わらないのか?

これは決して抽象的な話ではありません。実際に起きているのは、良い製品を持ちながら、その良さが伝わる形になっていない、というシンプルな問題です。

「伝える」という行為は、本来、相手を理解して初めて成立するものです。どれだけ優れた製品でも、相手に刺さらない伝え方をすれば、その価値は伝わりません。日本市場で磨き上げてきた強み——品質へのこだわり、緻密な仕様、技術的な裏付け——は、そのまま英語に翻訳しただけでは北米の顧客には届きません。なぜなら、顧客が知りたいのは「何が優れているか」ではなく、「それが自分の課題をどう解決してくれるか」だからです。つまり、お客様が求めていることに対して、お客様自身の言葉で語れているかどうかが分かれ目になります。

「説明」の文化と「証明」の文化、何が違うのか?

この差の背景には、いわゆる「高コンテクスト文化」と「低コンテクスト文化」の違いがあると言われています。日本語のマーケティングは、言葉の背後にある文脈や誠実さを読み取ってもらうことを前提に、機能や仕様を丁寧に説明する傾向があります。一方、北米の顧客は言葉そのものに明確な情報を求める傾向が強く、まず「自分にとって何が変わるのか」というベネフィット、そのうえで実績やデータといった裏付けを求めます。日本語の資料をそのまま翻訳するだけでは、この順序のズレがそのまま北米の読者への「刺さらなさ」になって現れます。

逆方向のローカライズから見えてきたこと

こうした「伝え方」のズレは、逆方向の経験からも実感してきました。以前勤めていたデンマークの製造業メーカーでは、海外本社が作る英語コンテンツを日本市場向けに書き換える仕事をしていました。そこで痛感したのは、直訳では伝わらないということです。同じ情報でも、英語圏の読者が納得する説明の順序と、日本の読者が納得する順序はまったく違いました。この経験は、逆方向——日本語で作られたコンテンツを北米向けに組み替える場面にもそのまま当てはまります。実際、ある日本の産業用通信機器メーカーとの5年以上にわたる仕事でも、英語プレスリリースを書く中で同じ構造のズレに向き合ってきました。日本語的な「説明」の順序をそのまま英訳するのではなく、北米の読者が求める「証明」の順序に組み替える必要があるのです。

また、商品はあくまでお客様の課題を解決する物だと考えると、その国の文化や慣習、環境など様々な要因を考慮して、ターゲットやペルソナに響くメッセージをその人の言葉で語ってあげる必要があります。現地の文化や商習慣を把握していないとなかなかそこが難しいという点も挙げられます。

必要なのは市場調査ではなく、「伝え方」の診断

つまり、必要なのは市場調査でも、法務・税務のアドバイスでもなく、「今、自社の発信が北米の顧客にどう届いているか」を診断し、伝え方そのものを組み立て直すことです。

もし「商品には自信があるのに、北米での反応がいまひとつ」と感じているなら、まずは無料の20〜30分の相談ください。こちらのフォームからご連絡いただけます。

現状の発信を一緒に見ながら、どこにズレがありそうかをお話しいたします。

そのうえで、本格的に見直したい場合は、有料の初期診断で、メッセージ設計・プロダクトのローカライズ・ブランドポジショニングを具体的に整理していきます。

参考文献・データ出典