バンクーバーに来てから、東京にいる時に比べると圧倒的にファッションに気を使わなくなってしまったなと感じる今日この頃です。
東京にいた頃は、ショップに並ぶ洋服や、他の人のファッションを見ては、なんとなく新しい服が欲しいなと思っていたのを思い出します。
ファッション好きの方なら感じたことのある感覚といてば「あれ、急にみんなこれ着てる」という瞬間。あれは偶然ではないですよね。

パリやミラノのランウェイで発表されたものが、スタイリストや雑誌編集者の目に触れ、セレクトショップに並び、やがてファストファッションに降りてくる。川の上流から下流へ、トレンドは流れていく。つまり、誰かが意図的に仕掛けているように思います。
ただ最近は、その流れが逆転することも増えてきた気がします。TikTokやInstagramで誰かが着ていたものが先に広がって、ハイブランドが後から「これだ」と取り込む。仕掛け人が、一箇所ではなくなってきているのかもしれません。
ビジネスも同じ構造
プロダクト開発をしていると、同じ問いに何度もぶつかります。
「すでに流行っているものに乗っかるのか、一歩先のものを仕掛けるのか」
乗っかる方は、市場の存在が証明されています。リスクは低い。でも差別化が難しく、価格競争になりやすいように思います。
仕掛ける方は、市場を教育するコストがかかります。でも成功すれば、そのカテゴリの「定義者」になれるのではないでしょうか。
AirbnbもiPhoneも、最初は「そんなもの誰が使うの?」と言われていたそうです。
どちらが正解かは、ビジネスモデルによるし、その人がどういうタイプの起業家かによっても変わってくる気がします。
2種類の「仕掛ける」
ここが個人的に面白いと感じているところなのですが、「仕掛ける」には2種類あるのかなと思っています。
ひとつは、全く新しい欲求をゼロから作り出すこと。これは稀で、難しいと思います。
もうひとつは、すでに潜在的にあった欲求を、言語化・可視化すること。
後者は「仕掛ける」というより「先に気づく」に近い気がします。でも実は、世の中のヒット商品の多くはこちらなのではないかと思っています。みんな「欲しい」とは感じていたけど、言葉にも形にもなっていなかったものを、誰かが先に見つけて形にした。
現実型の商品開発
私自身の話しをすると、私はどちらかというと、現実型だと思っています。
ゼロから欲求を作り出すビジョン型の起業家に憧れる気持ちはあります。でも自分を振り返ると、「ある程度成功が見えているものを、言語化して形にしていく」という方が性に合っている気がします。
今開発している新商品も、まさにそのアプローチです。お客様へのアンケートから「これが欲しい」という声を拾い、それを形にしていく。ゼロから発明しているわけではありません。でも、欲しいと思っていても形になっていなかったものを、ちゃんと届けられる形にする——それも立派な「仕掛け」なのではないかと、今は思っています。
自分がどういうタイプかを自覚した上で戦略を選ぶこと。それがたぶん、トレンドを「作る側」に立つための、最初の一歩なのかもしれません。

