カナダの大学ではよくリフレクションペーパーを書かされます。自分の体験や経験を振り返り、授業の内容と結びつけるといった内容です。
ただ授業で教わるだけでなく、実際に自分の経験として学びを活かせなければ意味がないという理由からこういった課題を出す教授が多いようです。
今回は、私の異文化コミュニケーションにおけるリフレクションペーパーの内容を日本語でご紹介したいと思います。
興味ない方は飛ばしてください(笑)
8歳の転校経験が日本文化を知るきっかけに
私は小さい頃アメリカで育って、8歳の時に日本に戻ってきました。
アメリカの現地校に通っていたので、日本の小学校に来た時は、服装の違いや発言の仕方の違いなどアメリカとの違いに戸惑った記憶があります。
スパンコールのついたタイツと派手なTシャツは友達から異様な目で見られたことを覚えています(笑)
友達を作るには、日本の文化・作法を学んで、慣れることが必要でした。
空気を読む日本と読めないカナダ
日本はハイコンテクストカルチャー、非言語でのコミュニケーションが多い文化として世界でも認識されています。
「空気を読む」ことが求められる日本と比較すると、ローコンテクストのカルチャーは基本的にほとんどのコミュニケーションを言葉で表現します。
カナダに来ると、レストランではいつも子ども用のスプーンやフォークをお願いしないとくれないし、お店や病院でも自分から目的を告げないと案内してもらえません。子どもがコロナのランダムテストを薬局に受けに行った時も、基本的に自分からハッキリ目的を伝えないと放置されます。
共通認識・共通の価値観を持っているから日本人同士のコミュニケーションはとても楽です。
あえて言わなくても伝わるからです。
カナダに来ると、お店でも学校でも、とにかくはっきりと自分の目的や主張を伝えないと誰も察してはくれません。
カナダは移民国家なので、そもそも共通認識なんて存在しないことが多く、言葉で伝えなければ意図が伝わらないので空気を読むのはかなり難しいです。
インターナショナルチームを率いるリーダー
様々な国から来ている社員をまとめたインターナショナルチームを率いるとしたら、まずはそれぞれの国の文化を理解し、その人は自身の価値観や目的を個別にヒアリングした上で、理解することがリーダーには求められます。
特に日本の労働環境は他の国と異なる場合が多く、勤務時間の違い、社内で求められる関係性の違い、仕事の進め方の違い、仕事と私生活のバランスの捉え方の違いなど、海外から来た人にとっては馴染むのがかなり大変です。
日本の文化の特徴をまずは知ること、そして違う国の人たちが何で悩んでいるのか?何に困っているのか?どんな価値観を持っているのか?を一緒に働く1人の人として聞いてみることです。
不確かと変化を嫌う日本人
Hofstedeという人が提唱した文化を比較する側面の中uncertainty avoidance score(不確かな状況を回避しようとする程度)という指標があり、日本は92と世界でもかなり高いスコアになっています。
私がITヘルプデスクとインストラクターをやっていた頃、Office2003から2007にインターフェイスが変わった時の日本企業のユーザーと外資系企業のユーザーのリアクションが正反対だったことがとても興味深かったです。
日本のユーザーは、「2003の画面に戻したい!このボタンがない!前の方が良かった!なぜこんな面倒なことをするんだ」と基本的なかなりネガティブなのに対し、外資系のユーザーは「この機能はどこいったの?前よりも使いやすい機能が追加されて良くなったんだね!」と会社がきちんとITインフラをアップデートしていることを好意的に受け止めていました。
不確かな状況を回避したいという性質から、変化を嫌う人が多いようです。
ただ、この特性は海外でも知られている”Kaizen”が生まれる理由でもあると思います。
予防策やより安全で確かな方法を考えだすのは日本の素晴らしい特徴だと思います。
何かを成すことと生きること
アメリカやカナダはDoing(何かを成す)カルチャーなのに対して、アジアやアフリカやラテンアメリカなどは、Being(生きる、存在する)カルチャーとして対比されます。
私個人は何かをやってることが好きなDoingな人間なのですが、日本全体としては恐らく元々はBeingのカルチャーです。
資本主義の導入により企業では成果・生産性・効率性・利益が求められ、それに苦しみ、うつになってしまう人も周りに多くいるように感じます。
ウェルビーイングが最近注目されていますし、日本政府が提唱する「新しい資本主義」も「人はの投資」や「生きがい」が重要な要素として含まれています。
日本がもともと持っていたBeingカルチャーへの回帰が、日本人の人生の豊かさを取り戻すきっかけになるのではないかと思います。
実は今期ももう来週が最後の授業で、あとは最終試験を残すのみになってきました。
異文化コミュニケーションの授業では色々と発見が多くて面白いですが、本当に国によってビジネス文化が違うので、インターナショナルに事業展開したい場合は、必ず相手国の文化をまず調べることが大切だと感じます。