カナダ人でも就職先が見つからない。こんな声を最近周りでよく聞きます。レイオフされて、次が見つからない。会社が倒産してしまったなど、状況は様々。

カナダ・バンクーバーの活気ある経済と豊富な機会は、多くの移民にとって魅力的だと思います。日本からも直行便で8-9時間と近く、アジアの玄関口的な感じでもあります。

しかし、フルタイムの職を得て、以前のキャリア経験に見合う仕事を見つけることは、特に移民にとって容易ではありません。

2024年9月現在、バンクーバー地域の失業率は約6%に達しており、経済成長が高金利の影響を受けて減速する中、雇用市場も低迷しています。

参考記事: Employment Insurance Economic Region of Vancouver - Canada.ca

競争の激しい就職市場での苦境

ここ数ヶ月間、バンクーバーの求職者は、仕事を見つけるまでにより長い期間を要するようになっており、特にカナダの労働市場に新たに参入した移民にとっては、その影響が顕著です。カナダ国内で長年働いてきた人々が安定した賃金上昇を享受している一方で、新しい移民は、スキルや資格が十分に評価されず、適したフルタイムの職を得るのに苦労しています。

この問題の一因として、資格認定の手続きが挙げられます。特にエンジニアや医療従事者、法律家などの専門職は、国外で取得した資格がすぐには認められないことが多く、その認定には時間と労力がかかります。仮に資格が認められても、その後のキャリアが過去の経験を反映しているとは限りません。結果として、多くの移民が自分のスキルを活かせない仕事に就かざるを得ず、過去のキャリアレベルに達するには長い道のりを歩むことになります。

賃金格差と遅い成長

バンクーバー地域の平均時給は35.16ドルに上昇しているものの、移住してから5年以内の新しい移民の賃金成長は停滞しているか、むしろ減少している状況です。多くの移民は、カナダでの生活をスタートさせるにあたり、スキルや経験が十分に活用されることを期待していますが、実際にはそれに見合う職を得るのが難しく、経済的な不安を抱えています。

さらに、バンクーバー地域の雇用市場では、特定の業界では成長が見られる一方で、他の業界では雇用が減少しており、特に専門職や技術職では競争が激しく、安定したフルタイムの職を得ることがさらに困難となっています。

長期化する求職活動

移民が直面するもう一つの課題は、仕事を見つけるまでにかかる時間です。多くの場合、移民は現地の労働市場についての知識が不足しており、プロフェッショナルなネットワークも限られているため、就職までのプロセスが長引くことがあります。また、移民に対する潜在的なバイアスが採用プロセスに影響を与えることも少なくありません。そのため、多くの移民は、自分のスキルや経験に見合った職を見つけるまでに、時間がかかることが一般的です。

私の周りでも4ヶ月から6ヶ月くらい職探しにかかっている人が多く見受けられます。1日に15件応募して、半年後にやっと2つインタビューの連絡がきたなどカナダ人でもなかなか困難を極めています。特に人気の職種、例えばマーケティング、グラフィックデザイナー、SNSマネージャーなどは競争も激しい一方でレイオフもされることが頻繁にあるようです。

就職の確率を上げるには?

これらの課題に対処するためには、多面的なアプローチが必要です。

特に応募者が多いので、レジュメでまずは一つ突き抜ける必要があります。またカバーレターは必ずつけます。

募集要項をよく読みこみ、求められるスキルとマッチした職歴や実績が目立つように応募する企業に合わせてレジュメをアップデートします。

面接まで行ければ、あとは自己アピールの場です。最後にする質問も必ず用意しておきましょう。

留学生は学校を通じて、インターンシップの機会があれば必ず応募することをオススメします。

メンターシッププログラムや専門分野でのネットワーキングの機会を提供することは、移民にとって大きな助けとなります。現地のプロフェッショナルとの関係を築くことで、採用プロセスの理解を深め、企業が何を求めているかを学び、カナダの労働市場に適した形で応募書類を作成することが可能になります。コネクションがあることで、いち早く情報が得られたり、最終選考に残った際にすでに関係性のある方を採用することも多くあります。

結論として、バンクーバーの就職市場は豊富な機会を提供していますが、移民にとって、以前のキャリア経験に見合ったフルタイムの職を見つけることは大きな課題です。新しい労働市場を開拓し、資格認定の障害に直面し、賃金格差に取り組むには、忍耐と継続的なチャレンジが必要です。

簡単ではありませんが、悲観的にならず、適切なアプローチをしていけば自ずとキャリアは拓かれていくのではないかと思います。