ここまでの長期戦は、しばらくなかった。
最初の一週間は、長男のひどい咳。
次男と三男は下痢と嘔吐。
長男も咳き込んだ勢いで嘔吐。
一気にくるのではなく、順番にかかるのが憎たらしい。

毎晩、夜中にシーツを変える羽目になる。洗濯機が休む暇なし。
進化するのは、ウイルスだけじゃない。親もだ。
「吐きそうだ!」と察知して、ボールで受け止める技を習得する。
ギリギリセーフ!……が、服は救えず。
結局、夜中に着替えさせて洗濯。
そんな睡眠不足の中、朝はとりあえず起きる。
起きてしまえば、なんとかなるもので、仕事に行く。
こういう時に限って、仕事も忙しかったりする。
次男の熱は四日間続く。
咳がひどくなり、夜中に30分ごとに起きる。
「お腹が痛い!」と泣く。
最初は「まだお腹が悪いのかな?」と思ったが、咳が出ていない時はけろりとしている。
もしかして、咳しすぎて腹筋が筋肉痛?
泣き叫ぶほどの筋肉痛ってある?
さすがに「これは救急車か?」と一瞬よぎる。
が、機嫌はすこぶる悪いものの、そこまではいかなかった。
在宅勤務ができるのは本当にありがたい。
でも、よりによって外出の予定やミーティングが詰まっている週で、バタバタ。ミーティング中のも容赦なく不機嫌な子どもが乱入してくる。
これまたしんどい。
夜は眠れないので、バンクーバーとは時差で、なかなか中国とのやりとりが進まなかった案件もあり、夜中にやりとり。
「どうせ起きてるし」と思ってしまう自分が悲しい。
***
子どもが風邪をひいたときの睡眠不足は、アラフォーの体にこたえる。
自分も倒れそうだが、なぜか倒れない。
「親は倒れられない」という気合が、免疫力を引き上げているのか。
会社の同僚はちょこちょこ休んでいる気がするが、私が休むのはたいてい「子どもの通院」か「子どもの行事」。
自分のために休むという概念が、もうない。
カナダの病院事情も悩ましい。
ファミリードクターに診てもらうのが一番良いが、予約が取れない。
結局、ウォークインか救急ホスピタル頼みになる。
今回は市販のアドビルで乗り切ったが、薬を飲ませると治りが遅い気もする。
「高熱で痛くて眠れない」と泣くので、飲ませる。
でも、「デトックスと考えたら、自然に治したほうがいいのでは?」と葛藤する。
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長男は薬が苦手で、シロップ1本飲み干すのに1時間かかる。
次男は逆で、「美味しい!」と一瞬で飲み干す。
ぐずり出すと面倒な次男だが、薬に関しては楽で助かる。
三男は、生まれたときから菌にさらされているせいか、治りが早い。
今週は1人だけデイケアに行っていた。
鼻水垂らしながら、元気に遊んでいた。
3人とも、全然違う。
ほんとに、面白い。
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しかし、私は思う。
「ぐっすり眠れる日は、来るのか?」
その頃にはもう、年をとって、眠りが浅くなっているのでは?
やっと子どもが夜泣きしなくなった頃には、自分が長く眠れなくなってたりして。
そんなことを考えながら、また夜が来る。
とりあえず、家族みんな健康で、朝までぐっすり寝たい。
ただ、それだけを願う。