次男がまた夜中に目を覚ます。時計を見ると、午前2時。眠い目をこすりながら、小さな背中をさする。
咳の音が止まらない。小さな体がひゅーひゅーと悲鳴をあげている。お腹が痛いと泣く。咳で腹筋が痛むのだろう。わかっている。でも、どうしようもない。
「もういやだー!」
癇癪を起こして、ベッドに突っ伏す。
変わってあげたい。でも、変われない。

医者には相談済みだ。3歳の咳は出し切るしかないと言われた。解熱剤を使ってもいいけど、咳には効果がないらしい。熱が5日以上続いたら抗生物質を飲ませてください、と処方箋をもらった。
「もう明日で5日だな」
夫がぼそっとつぶやく。明日、薬局に電話して、薬を取りに行かなければ。カナダの医療制度は便利で、医者から薬局に直接ファックスで処方箋が送られる。日本と違って、病院で長く待つことはない。でも、咳に効く薬がないという事実は、日本もカナダも同じだった。
次男の咳が10分おきに響く。隣で寝ているはずの私の体も、全く休まらない。新生児育児の頃を思い出すほどの寝不足。前回、親は倒れないと言ったが前言撤回。
ついに自分も倒れた。
38度を超える熱。頭が割れるように痛い。咳や鼻水も止まらない。でも、熱が出るのは久しぶりだ。昔なら風邪薬を飲んで無理やり会社に行っていた。でももうアラフォーの体にはそんな無理はきかない。
「会社、休みます」
チャットを送る。今の仕事はプロジェクト型だから、その日に絶対にやらなければいけない予定は少ない。それが今は本当にありがたい。
きっと寝れば治る。寝不足が原因だ。
そう思っていたのに、今度は長男が熱を出した。夫もダウン。負の連鎖。
でも、三男だけがやたらと元気だ。デイケアから帰ってくると、「おっかえりー!」と叫びながら、おもちゃを見つけて「やったー!」と飛び跳ねる。
可愛いものだ。
でも、親の体調が悪い時の子育ては、本当にしんどい。メンタルもフィジカルもボロボロになる。
これがもう3週間くらい続いている。途中で小休止はあった。でもまたすぐに振り出しに戻る。
「健康第一」
そんな言葉が、最近本当に身にしみる。健康でいることがどれほど幸せか。
早くみんな元気になりますように。
それだけを願っている。